「山登りと無線機」

会社の同僚と数年間の間、多くの山に行きましたが、異動や結婚等により同行者も少なくなり、私自身も結婚した事もあり、以降単独行が多くなりました。

結婚後、アマチュア無線の免許取得を思い立ち、4アマの免許を取得しました。及びせっかくの免許なので、無線機も購入し山行に持って行くようになりました。当時は既に携帯電話は持っていましたが、そのころは未だ少し市街地を離れると、“圏外”が多く、山登りでは全く使えない状況でしたので、無線機は非常用に持参していました。

山登りと無線機は、ある意味相性が良いというか、特に単独行の場合、そういう風に思っています。

「無線機との出会い」

  • 昔はアマチュア無線が“King of hobby”と言われており、無線人口も多かったですね。当時は小学生だったので、私には無縁な世界でしたが、小学校の友人宅の屋根に大きなアンテナがあり、無線機があったのを覚えています。これらの無線機器は友人の父親のものでしたが、当時私は狭いアパート暮らしだったので、無線機というよりは、大きなアンテナの建てられる一軒家の方が羨ましいなあと…
  • そのアマチュア無線の影響なのか分かりませんが、子供向けには玩具のトランシーバーが多く販売されていました。学研がトランシーバーを出しており、“6石”とか、トランジスタの数が書かれていたのを覚えています。私の家にも玩具のトランシーバーが1セットありました。
  • これ、おもちゃのトランシーバーなので、交信距離は数百メートルしかないのですが、ある時、父親がアパートの高い位置に細長い鉄の棒(アンテナの代わり)を取り付け、この鉄棒とトランシーバーのアンテナ部分を銅線でつないで、私に渡しました。そして、父親と母親は用事があるため車で出掛け、小学生の私は留守番、母親がもう1台のトランシーバーを持って、車の窓からアンテナを出して、しばらく私と交信していました。車が離れて行き、無線は途切れましたが、普段より遠くまで電波が届く事を面白いなあと思った記憶があります。
  • 父親がアンテナを外付けする知識をどこから仕入れてきたのか分かりませんが、当時の玩具のトランシーバーは恐らく27MHz帯の水晶発振子を使っていたはずにて、外部の高い所に長い導電性の棒を立ててトランシーバーとつなぐと飛距離(交信距離)が伸びるのは、今考えても理にはかなっています。
  • 私が中学生の頃、CB無線機が一部で流行っていました。昭和50年台はCB無線機も全盛で、同時に違法CB無線機による電波障害も問題になっていた頃です。当時、合法CB無線機を持っている同級生が羨ましかったですね。また、違法CB無線機を持って家に外部アンテナ建てている強者の同級生もいました。何より中学の先生の一人が、家に違法CB無線機のアンテナ立てていたという、なんというのどかな時代だったんでしょうね! → 遠足か何かの時、無線の話になり、その先生本人が話していたのを横で聞いていましたので。
  • 私はCB無線機は買えませんでしたが、同級生から借りて何回か使わせてもらった事はあります。CB無線機は試験はありませんが、合法CB無線機の場合、無線局として登録が必要でした。登録によりコールサインがもらえるのですが、私は無線機も持っていないのでコールサインなんかあるわけでもなく、適当な名前でお空に出ていました。まあ今では完全に違法ですね…(当時でも違法ですが…)。
  • 小中学生の頃、「無線機でよく遊んだ」という事は無いのですが、身の回りに無線機がある環境だった為、それなりに興味は持っていたのだろうと思います。そうでなければ、結婚後に「アマチュア無線の資格を取ろう」とは考えなかったと思います。

「子供の頃、買えなかったもの」

  • 私の家は標準的な収入の家庭でしたので、貧しくはありませんでしたが、「欲しいものを買ってくれる」という両親ではありませんでしたので、高価なものは殆ど持っていませんでした。
  • 家それぞれに教育方針があって、自分が子供の親となってみて、別にその考えに不満も何も無いのですが、それとは別に、子供の頃に欲しかったものに対する執着心は消えないというか、なんか当時手に入らなかったもの、今でも欲しかったりします。特に使いたい とかじゃなく、とにかく欲しいという欲求。あまり良いことではないのですが… ある意味反動なのかも。
  • 話は少し反れましたが、アマチュア無線の免許を取って、本来の目的である非常通信用にハンディ機を1台購入しましたが、ハンディ機は家にあっても、交信相手は近くの人に限られます。「もっと遠くの人と交信してみたい」と、単にそれだけの理由で、低出力の短波帯の無線機も購入し、当時住んでいたアパートに小さな外部アンテナを取り付け、交信してみました。
  • 低出力(10W機)とは言え、小さなアンテナでも短波だと飛ぶんですね! 安定して飛ぶわけではないけど、北海道、関東、関西の局と交信出来ました。韓国の局とも交信しました。無線の醍醐味の1つが、自分の出した電波が遠くまで届く不思議さの体感だと思います。
  • その後、転勤等により3回ほど居住地が変わっており、都度無線機のアンテナを設置するのは正直面倒なこともあり、短波用の無線機はお蔵入りになっています。元々、無線に対して、それほど情熱があるわけでもなく、子供の頃買えなかった無線機で遠くの人と交信してみたい という動機だけなので長続きせず… まあいいか。
(アマチュア無線(ハンディ機))
(STANDARD VX-3・VX-7)

「山登りと無線機は相性が良いのだが…」

  • (前置きがとっても長くなってしまいましたが…)私は、山登りと無線機って、相性がいいなあと思っています。
  • 山登りに無線機を持って行くメリットとしては、非常通信手段として使える(可能性がある)ということです。アマチュア無線の場合、“通信の相手方”が存在しなければ交信は成立せず、また谷筋や標高が低い場合は電波到達範囲が狭くなるため、電波を拾うことが出来る無線局との交信の可能性も低くなります。それでも携帯電話が使えない環境において、アマチュア無線機は助けを呼べる可能性のある機器である事には違いはありません。
  • さて、それは置いておいて、単に無線という趣味で見た場合、山登り、山頂というのは無線環境としては非常に良い環境です。標高が高く周りに障害物が無い所ほど、無線の電波は遠くまで届くからです。遠くの無線局と交信する方法の優先順位は、①位置(環境)、②アンテナ性能、③無線機の性能 と言われており、標高の高い山頂は、もうそれだけで無線交信においては、恵まれた環境となります。
  • 昔から、アマチュア無線機は遭難時の通信手段として有効と言われており、山岳会等の登山においては殆ど持参されているようですが、普段の里山歩きにおいて、山頂で無線機で交信されている方は、実はあまり見かけたことがありません。私はそれなりの回数は山登りをしているので、山登りを趣味とされている方の無線人口は、さほど多くないというのは実感ですね。山登りと無線というのは、趣味性としては嗜好が違うようにも思い、両方される方の方が珍しいのかも知れません。
  • 私自身は、山登りに行く際は、ザックに無線機を入れていくことが多いのですが、山頂で使うかどうかは気分次第の所があります(人が大勢いる所場合等は、少々恥ずかしいような気もあり)。元々熱心な無線家ではなく、控えめな無線家なので、交信しても1~2局、こちらからCQを出して呼びかけるわけではなく、聞こえてきた局に応答する形での交信ですが、それでもマイナーな山の山頂からの交信等の場合は、めったに交信できない場所だったりするので、相手に喜ばれたりもします。そういう無線機の使い方も、気長に付き合えるようで、悪くないなあと思っています。

「ライセンスフリー無線」

  • アマチュア無線の場合、①無線従事者免許(1級~4級)と、②無線局免許証 の2つの免許を得ないと、法律上運用が出来ません。私は3級アマチュア無線の免許を持っており、局免もあります(局免が無いとコールサインが得られない)。
  • 他方、ライセンスの不要な無線機もあります。昔からあったのは、CB無線機と特定小電力トランシーバーの2つですが、最近は、デジタル簡易無線機、デジタル小電力コミュニティ無線機というデジタル無線機が2種類、増えています。
  • 私は、後者のデジタル無線機は持っていないので、どのように使われているかは分からないのですが、特定小電力無線機とCB無線機は持っています。これらの無線機は電波の出力も小さく、市街地では近距離でしか運用出来ないのですが、ロケーションの良い山頂からだと、数百kmほど飛びます! 非力な無線機を、ロケーションの良い山頂まで担ぎ上げて運用することで、非力でもはるか遠くの無線局と交信できる事が、その醍醐味のように思います。
  • アマチュア無線機は、過去の最盛期に比べ、現在は実際に運用している局は激減していますが、それでも国内では開局している局も多く、不特定の相手方とも交信出来る可能性が高いのですが、ライセンスフリー無線の場合は、それを趣味的に使う方は限らており、平日の平野部で無線機のスイッチを入れても、雑音しか聞こえません。
  • ライセンスフリー無線の場合は、年に数日、皆でこの時間にお空に出ようという、“一斉ON-AIR DAY”があります。なので、この日にロケーションの良いいろんな所に出かけて交信を楽しむようになっています。
  • 私も、この一斉ON-AIR DAYに無線機担いで山に登っていましたが、出来れば登ったことのない山に登りたいというのがあり(無線のために同じ山に何度も登るのは好まないので)、せっかく登ったは良いが、ロケーションがいまいちで、交信が空振りだったことも数度あります。
  • ここしばらく、CB無線機からも遠ざかっていましたが、せっかくですから今年はお空に積極的に出ようかと考えています。無線機がまともに動いてくれればですが… ふと思うのは、山登りだったり無線という遊びは、ブランクがあっても再開できる所が良さの1つかなあと思います。
(特定小電力トランシーバー)
KENWOOD UBZ-LK20
ICOM IC-4100

「備考:一斉ON-AIR Dayについて」

ライセンスフリー無線機相互の交信機会を増やすため、全国的に一斉にON-AIRしようと有志にて決められた日があります。私がCB無線機の運用を始めた15年以上前から情報がありましたので、結構な歴史があるように思います。日程は当時から変わっていない様で、今後もしばらくはこの日程だと思いますので、ご参考までに。

  • 春の全国一斉オンエアデイ:春分の日 9:00~15:00
  • G・W一斉オンエアデイ(毎年5/3・4の祝日 5月3日21:00~5月4日15:00)
  • SUMMER VACATION(毎年7月の最終土日 土曜日21:00~日曜日15:00)
  • 秋の一斉オンエアデイ(毎年9月敬老の日を含む連休の土日 土曜日21:00~日曜日15:00)
  • 全国各地一斉オンエアデイ(毎年11月文化の日 9:00~15:00)
  • 年末年始一斉オンエアデイ(12月31日21:00~1月1日15:00)
(CB無線機)
National RJ-410

「CB無線機での遠距離交信」

私はそれほど熱心な無線家ではないので、遠距離交信も数えるほどしかありませんが、わずか0.5Wの出力しかない無線機が、はるか遠くの人と交信が出来るというのは、やはり面白いなあと思います。

  • 2007年だったと思います。阿蘇山から北海道の無線局数局と交信出来ました。これはEスポと呼ばれる電離層反射による交信で、運が良かったものです。このEスポ、本当にある瞬間から急に無線機からいろんな交信が聞こえてきて、「えーっ! 北海道!」と思いながら、一生懸命呼びかけて数局と交信できました。その後スーッと交信が聞こえなくなり、ほんとある一瞬の間だけ交信可能な時間があったのが不思議で、貴重な体験でした。
  • 下関 華山 - 愛媛県伊予市
  • 下関 華山 - 福岡県久留米市鷹取山
  • 下関 華山 - 愛媛県久万高原
  • 国東半島文珠山 - 愛媛県高縄山
  • 雲仙普賢岳(長崎)-九千部山(佐賀)

あまり正確に交信記録も取っておらず、記録にあるのはこの程度ですが、北海道と交信できたのは嬉しかったですね。

(CB無線機)ICB-880T(SONY)

(備考:保有している無線機)

  • CB無線機 SONY ICB-880T
  • CB無線機 Panasonic RJ-410
  • 特定小電力トランシーバー KENWOOD UBZ-LK20
  • 特定小電力トランシーバー ICOM IC-4100
  • アマチュア無線機 STANDARD VX-3
  • アマチュア無線機 STANDARD VX-7