④山歩き用「ザック」について考えてみた

1.名称は?

  • リュックとかザックとか言いますが、正しい名称は何なの? これはWikipediaを見た方が早いです。
  • (Wikipediaより抜粋)「リュックサック(独: Rucksack、蘭: rugzak、英: rucksack:背に負う袋の意)は、荷物を入れて担ぐための袋である。登山、軍事などその用途は広く日常生活でもよく用いられる。他の呼び名として、背嚢(はいのう)、リュック、ザック(独: Sack)、バックパック(米: backpack)、ナップサック(英: knapsack)などがある。」つまりは、呼び方の違いです。通常は、「ザック」と言うのが多いですね。
  • 私も、山登りを始めるまでは、「リュック」、「ナップサック」、「デイパック」とか言っていました。学生の頃、山登り好きな先輩が「ザック」と呼んでいたので、その呼び方を真似たような気がします。まあ、ぶっちゃげ、呼び方は何でも良いよね。
  • 今はほとんど見かけませんが、大昔は「キスリング」ザックというのが主流でした。キスリングというのは、それを製作した方の名前だそうです。サンドイッチと同じですね。今のザックと違い、キスリングは横に広がったような形状です。で、狭い場所を通過する際は、キスリングが干渉するので、横向きに歩くこともあったようで、キスリングのことを、「カニ(横向きに歩く姿より)」と一部では言っていたようです。
(キスリングザック (片桐HPより拝借))

2.ザックの選び方は?(一般的に)

  • う~ん、どうなんでしょうねえ。身に着けるものだから、出来るだけ担いでみてから選ぶ方が無難です。でも、ザックは、実際にそれなりの荷物を入れて、それなりの重さのものを担がないと、背負い心地は分からない面もあるし… ただ、そんなに選ぶのが難しい道具ではない様に思います。登山靴の方がはるかに迷うように思います。
  • まず1つは、ウエストベルト(ヒップハーネス)が付いているものを選んで下さい。できれば、ベルトの根元、腰の辺りにパッドがしっかり入っているものを選んで下さい。後述しますが、重たいザックを担ぐ際は、ウエストベルトがあると、負荷を肩と腰に分散させることが出来ます。また、ウエストベルトがあると背中でザックの挙動が抑えられ、歩きやすいのです。
  • 次に、ショルダーストラップ(ショルダーハーネス)にクッションが入って、しっかりしているものを。安物は、この辺のクッションが薄いものが多いような気がします。(ランニング用は薄く出来ているらしい)
  • 荷室は、1つのものと分かれているものがあります。分かれている方がパッキングしやすく、取り出しやすいメリットがあります。またポケット類も多い方が小物を収納しやすいメリットがあります。但し、荷室が1つでポケットが少ない方が、ザック自体がシンプルになり、軽くなる傾向にはあります。まあ好みで選んで下さい。
  • ザックは、少し大きめのものを選んで下さい。何故か? 大は小を兼ねるから。結局、小さいと融通が利かない。「あと1つ入れたいものが入らない」という事が無いように、少し大きめのものを選びましょう。特に冬場は厚着して歩き始めますが、登山時の発汗にて上着等を脱ぐ場合が多く、これらの衣類が入る大きさの方が重宝します。一般的には最初の1つとしては35L辺りがお勧めとされていますが、私は40~45Lくらいが良いかな? と思います。
  • あと、ザックの外側への収納性も見ましょう。トレッキングポールが挿せるか? 上着が簡単に収納できるか?(上蓋と本体の間に挟むことが多い。また本体にバンジーコード(ドローコード)が付いていて、挟めるものもある) この辺もチェックしましょう。
  • ザックは、歩行中に中身が動く、踊ると歩きにくいので、一般的にコンプレッション(圧搾)機能が付いています(左右にサイドコンプレッションストラップが付いています)。コンプレッションストラップがあると、中身の大きさに合わせ、ザックの体積を絞ることが出来、安定します。このストラップが付いているものを選びましょう。ザックの容量にもよりますが、ストラップが1本より2本の方が安定します。

3.ザックの選び方(フレーム)

  • 大きな、しっかりとしたザックには、“インナーフレーム”が入っています。中身が空の状態でザックを立たせて、立つものは(くにゃっと曲がらないものは)、フレームが入っています。ザックにもよりますが、フレームは1本か2本入っています。背中の部分を荷室側から触ると、硬いものがあるので分かると思います。(※インターネット通販の画像は、荷室内に詰め物を入れて立たせてあるので、画像からはインナーフレームの有無は判断できません。ご注意下さい!)
  • フレーム自体はアルミニウムで重量も軽いのですが、フレームを入れる構造にする分、ザック本体の縫製や生地が増えるため、同じ容量の場合、フレームの入っているザックの方が重たくなる傾向にあります。
  • なので、ベテランの方でも軽量性を重視される方は、フレームの入っていないザックを使用される方もいます。
  • 私はザックを選ぶときは、必ずインナーフレームが入っているものを選びます。軽さを犠牲にしても、その分のメリットがあると考えるからです。
  • インナーフレームがあるメリット①:ザックの中身の凸凹が、背中に伝わらない。⇒ザックの中に角張った硬いものがあっても、フレーム+クッションのあるおかげで、背中には角は当たりません。
  • インナーフレームがあるメリット②:ザックの縦の面が崩れないので、背中に適度な隙間が生まれ、蒸れにくい。
  • インナーフレームがあるメリット③:フレームが入っているので剛性が高く、荷物の中身による型崩れがし難い。⇒ これは、担ぎやすさにつながります。
  • インナーフレームがあるメリット④:フレームが入っているので剛性が高く、荷物の重さによる負荷が、きちんとウエストベルト側に分散される。これが最大のメリットだと考えています。
  • ザックの重さが重くなると、肩だけで担ぐのは無理です。重要なのは、腰(ウエストベルト)へ重さを分散させることが大事になるのです。このために、インナーフレームがあるザックの方が、腰にしっかりと荷重が掛けられることとなり、結果、その分楽に歩けるのです。「ザックは腰で担ぐ」とは、私の勝手な持論ですが、そのためにも、インナーフレームのあるモデルをお勧めいたします。

4.ザックの選び方(メーカー・ブランド)

  • 出来れば、ザックも身に着けるものなので、登山用品店で実物を見ながら購入される方が良いです。ただ、郊外の大型スポーツ用品店には、容量の大きなザックの品ぞろえは少ないような気もします。
  • インターネットショップでザックを見てみると、もうたくさんのブランドがあり、迷いますよね? でも、幾つかのブランドは、明らかに高価。この辺になると、もうブランド名だけで値段とっているような… 当然、私は使用経験が無く、コメント出来る立場にはありませんが、ザックの機能や使用経験から言って、“値段に比例” とは思いません。比較的安くても良いものがあります。
  • 例えば、郊外型の大きなスポーツ用品店は、その独自のブランドでアウトドア用品を販売しています。例えばVision Peaks(ヒマラヤ)、South Field(アルペン)等があります。この2つのブランドは、私も使用経験があり、いずれも45Lのザックを安く購入しましたが、作りもしっかりして機能的にも良く作られていました。最近は、ザック自体が売れないのか、ホームページにも商品が宣伝されていないのが寂しいですが…
  • あと、私が使用経験のあるザックのブランドは、TATONKAとドイターで、いずれもドイツブランドです。ドイターのザックは、自転車用で売れているようですが、登山用のザックもたくさんあります。TATONKAは50L、ドイターは75Lを持っています。使ってみて、良いザックです。次も購入するなら、いずれかのブランドをまず検討すると思います。
  • 若いころ、数人で山登りに行っていましたが、後輩二人はモンベルのザックでした。モンベルのザックも良いですよ。上手く表現できないのですが、モンベルのザックは、ムダが無いというか、必要な機能は付いていて、且つ余計なものが付いていないように思います。また適度に柔らかく、担ぎやすい(後輩に借りて担いだことがありますので)。
  • 私がこれまで購入したザックは幾つもあるのですが、失敗も2回あり。1回は、ヤフオクにて購入した35Lの小さめのザック。ブランド品でしたが(名前は忘れた)、インナーフレームレスタイプの軽量モデルで、私はインナーフレームが入っているザックを所望していたので、これは再度自分で出品して手放しました。ヤフオクやインターネット通販では、インナーフレームの有無については殆ど説明されていないため、確認してから買わないと、こういうことになります。
  • もう1回の失敗は、後述するフレームザックを手放した後、山中泊用の大きなザックを購入したく、でも大きなザックは高いので… ふとそのお店にあった大きくて安いザック(これはノンブランド品)を買いました。ノンブランド=悪い とは限りませんが、これはインナーフレームもサイドコンプレッションストラップもきちんとあったのですが… 基本的にザックの造りが弱く(剛性が無い)、ある程度荷物の容量が増えると、左右に振られるのです。つまり全然しっかりと造られていない… なので後輩に数千円の格安で譲りました。このザックの購入経験で、造りのしっかりしていないザックは、どういうものか? というのは勉強になりました。この後、ドイターのエアコンタクト75Lを購入、まあもう全然違うやん! というのを実感した次第。
  • 経験から申し上げられることがこの程度の内容で…

5.フレームザックをご存じですか?

  • かなり以前の話ですが、90年前後は「フレームザック」が全盛の頃がありました。これは、極端に言えば“背負子”に荷室が付いたもので、フレームがアルミニウム製のパイプで出来ているものです。
  • 私も就職して山歩きを始めた当初、神戸のバンドール(ダイエー系列ディスカウントショップ 今は無いのですが、いや懐かしい…)でフレームザックを見かけ、単なるあこがれだけで、衝動買いしました。しかしその頃は日帰り登山者だったので、容量が大きいフレームザックは、全く出番もなく… その後、山中泊の山行に行くようになり、お蔵入りしていたフレームザックにも、ようやく出番が来ましたが… これ、気付いたらウエストベルトが無いタイプだったようで(購入した頃は、そんなの全く無頓着だった)、仕方なく自分で工夫してウエストベルトは取り付けました。
  • 何度か使ってみて、使いやすい所は、パッキングのしやすさでした。分かりやすく荷室が分かれていて、収納はとにかく楽だった事を覚えています。ただ、今のザックにある、コンプレッションストラップが無いので、荷室が絞れない。
  • 現在、フレームザックを使われている方は少数です。一時期全盛だったフレームザックも、その後は廃れていきましたが、この大きな理由の1つが、「危険」であること、どういうことか? ⇒ フレームザックはアルミニウムのフレームが張り出しているの外観上の特徴なのですが、これが狭い山道等では、引っ掛かってしまうのです。通常のザックであれば、出っ張りもなく引っ掛かりにくく、引っ掛かっても柔らかいので逃げますが、フレームザックのフレームは硬く、引っ掛かりやすく逃げないので、そのまま引っ掛かります。また、尻を着くような険しい下りの場合にも、フレームの下部が地面に引っ掛かるのです。
  • この話は、登山用品店の店員さんに聞きましたが、確かにそうだなと、私も自分でフレームザックを一時期使っていたので、実感した次第。私のフレームザックは、使い勝手がいまいちだったので手放しましたが、というわけで、あまり活躍しなかったという思い出の登山用具です。
(フレームザック)

6.上蓋部分(雨蓋)の取付について

  • ザックの形には、「パネルローディング型」と「トップローディング型」の2種類があります(私も正式名称は知りませんでした)。
  • トップローディング型は上蓋(雨蓋)部分を開くことで、荷物の出し入れをします。実際には、雨蓋を外した後、さらにドローコードを緩めて中身を出し入れしますので、パネルローディング型よりも出し入れは一手間かかります。その代わり、雨蓋とザック本体の間に、荷物が挟めます。これは結構重宝します。歩いていて暑くなった際には、上着を挟めるし、ザックが小さめだけど荷物が多い場合には、雨蓋との間に、テントやマットを挟むことが出来ます。
  • トップローディング型の雨蓋の取り付けは、背中に接する側の生地は繋がっていて、2本のストラップで締め付け―固定するタイプと、雨蓋と本体が4本のストラップで接続されるタイプがあります。後者の方が、雨蓋と本体の間に多くの荷物が挟めるようになっています。この場合、本体の口を縛るドローコードが2重になっており、中身の容量変化に対応できるようにもなっています。
  • 私の所有しているTATONKAの50Lのザックも、このタイプです。なので荷物の量が増えた時にも結構な量を積載可能です。
  • ただ、この雨蓋が4本のストラップでつながっているタイプは、荷物の量が少ない場合には、雨蓋の座りが悪いというか、歩行中に揺れます。まあ、さほど気になりませんが、大きなザックをスカスカの状態で使うと、そりゃそうなるわな… 蛇足ですが、まあそういう傾向があるということで、書いてみました。

7.その他

  • 「大型ザック:ショルダーストラップの取付」  ザックの容量が50Lを超えるものは、上下に長くなります。ショルダーストラップ(ハーネス)の取り付けと、ウエストベルトの取り付け間の距離も長くなります。この距離が身体に合わないと、ザックの荷重が肩と腰に程よく分散されず、担ぎにくい事になります。このため、ショルダーストラップの取り付け位置が何段階かに変えられる様になっているものを選んで下さい。特に背が低い方は、取付位置の変更機能は大事だと思います(私も背が低いので)。
  • 「クッションの硬さには差がある」  ショルダーハーネスのクッション部分、ウエストベルトのクッション部分、背面パッドにはメーカー独自の硬さがあります。私はドイターのザックを2つ所有していますが、いずれも硬いですね。ドイターのザックは造りかしっかりしていて好きなのですが、このクッションが硬いのだけは、私はあまり好きではありません。柔らかすぎるのはダメですが、これらのクッションの硬さについては、TATONKAやモンベルの方が“ちょうどいい”です。ザックを選ぶときは、この辺も気にしてみて下さい。まあこの辺は好みで選べば良いです。
  • 「ザックの色」 全然関係無い話ですが、私は蜂が大の苦手で…(スズメバチ2匹に同時に背中を刺されたトラウマがあり…) 蜂は黒いものを攻撃しやすいとかで、「黒いザックは止めよう」とか思いながら、結局、直近に購入したザックは黒色しかなかったので黒でした… ザックの色、そんなに選択肢があるわけではないのですが、せっかくですから、周りの目なんか気にせず、自分の好きな色、カラフルな色で山登りしませんか? 特におすすめの色なんかありません! 好きな色を選ぶことが一番のお勧めです!

8.あると良い小物類

  • 「ハンドレスト(ストラップ)」 : ショルダーハーネスに輪っか状のストラップが付いていれば、それです。歩いているときに、このハンドレストを握る、あるいは親指を引っ掛けておくことで、“腕休め”が出来ます。実は、ストックを使わない平たん路等の歩行の場合、荷物が無ければ腕を振って歩きますが、ザックがあって重たいと、自然と腕は振りません。そうすると、腕が重たいのが気になります。ハンドレストがあると、本当に腕休めが出来ます。ザックによっては最初から付いているものもあります。ショルダーハーネスにⅮ環が付いていれば、ハンドレスト単体で販売されているものを後付けも可能。実は、私は最初、売られているハンドレストの使用目的も良くわからず、とりあえず購入して付けてみたのですが、これが当たり! でしたね。結構重宝します。無くても構わないものですが、あると良いですヨ。
    (ミレーのザックには付いているようで、ミレーの特徴となっているようです。)
  • 「鈴(クマよけ)」 : 数人で山登りしている間は鈴なんか全く念頭にもなく、その後単独行を行うようになり、島根県の山の山頂付近、熊笹の中から大きな動物が動いている音が聞こえてきて… 見えないから正体分からないのですが、依頼、ザックに鈴が付いています。一人の時は、鈴の音があるだけで、ちょっぴり元気になりますよ。まあ、ラジオ鳴らされている(聞かれている)方も良く見ます。
  • 「ペットボトルホルダー(水筒入れ)」 : 最近はハイドレーションシステム搭載ザック等もありますね。そんなしゃれたものが無い場合、500ml前後のボトルが入るホルダーを、ショルダーハーネスかウエストベルトに取り付けておけば、特に上りの途中に、手軽に水分補給が出来ます。無くても構わないのですが、ザックから水筒を取り出すの、たまに面倒だったりしますもんね。

9. 結局、どういうザックが良いの?

  • ここまで書いて、結局あまりアドバイスになっていないような…
  • 「少し大きめのザックを選びましょう(大は小を兼ねるから)」
  • 「インナーフレームが入っている方がお勧めです」
  • 「ウエストベルトは必ずあるものを選んで下さい」
  • 「サイドコンプレッションがあるものを。外側の収納面もチェック」
  • 「できれば試着して(担いでみて)選びましょう。ネット通販の場合は、返品可能な所で買いましょう。」
  • 「大型ザックを買う場合は、ショルダーハーネスの取付部分の位置が変えられるものを」
  • 「ショルダーハーネス、ウエストベルト、背面パッドの硬さも気にして」